親の言葉が、自分の中のルールになる
子どもにとって、親との関係はとても大きなものです。
自分の気持ちを話したときに無視されたり、相談したことで両親がけんかになったりすると、子どもは理由がよく分からないまま、こう受け取ることがあります。
「親のいう事をきかないと、悪いことが起きる」とよく言い聞かせれていたことから、
「自分の気持ちは言わないほうがいい」
「相手に合わせれば、関係が壊れない」
私自身も、母に相談すると父が悪いという話になり、両親のけんかに発展することがありました。当時の私は、なぜけんかになるのか分かりませんでした。ただ、人の顔色を見て、自分の気持ちを言わないことを覚えていったのだと思います。
看護師として長く働く中でも、人から頼まれるとNOと言えず、相手の問題が解決するとほっとする自分がいました。誰かの役に立てることはうれしい。けれど、その一方で、自分の疲れや本音を後回しにしていました。
結論は、親を責めることではなく、自分の気持ちを取り戻すこと
親の影響に気づくことは、親を一方的に責めることではありません。
大切なのは、親から受け取った価値観と、今の自分の気持ちを分けて考えることです。
これまで自分を守るために身につけた我慢や気づかいは、あなたが生きてくるために必要だったものかもしれません。だから、無理に否定しなくていいのです。
そのうえで、今の自分に問いかけてみます。
「私は本当は、どう感じている?」
「これは私が背負うこと?」
「私は、どうしたい?」
すぐに答えが出なくても大丈夫です。自分の気持ちに気づくことが、親の価値観ではなく、自分の人生を選び直す第一歩になります。
心のシートで、親の価値観と自分の気持ちを分ける
頭の中だけで考えていると、親の言葉と自分の本音が混ざりやすくなります。そこで私は、気持ちを目で見て整理する「心のシート」をおすすめしています。
ノートや紙に、次の5つを書いてみてください。
今、何が起きている?
頭に浮かぶ親の言葉や、昔からのルールは?
私は今、何を感じている?
私は本当は、どうしたい?
今日できる小さな行動は?
たとえば、頼みごとを断れずに苦しくなったときは、次のように書けます。
起きていること:急な頼みごとをされた
親の言葉や昔からのルール:頼まれたら引き受けるべき
今の気持ち:疲れている。断るのが怖い
本当はどうしたい:今日は休みたい
小さな行動:「今日は難しいです」と一度伝えてみる
最初から大きなNOを言う必要はありません。返事をすぐにせず、「少し考えてからお返事します」と伝えることも、自分を大切にする練習です。
断ることは、悪いことではありません
人を大切にすることと、自分を犠牲にすることは違います。
助けることと、相手の問題まで背負うことも違います。
NOと言うことは、相手を拒絶することではありません。自分ができることと、できないことの境界線を伝えることです。境界線とは、自分と相手の責任や気持ちを分けるための心の区切りです。
小さなことから断ってみる。少し待ってもらう。自分の疲れに気づく。
その積み重ねによって、「相手はどう思うかな?」だけではなく、「私はどうしたい?」も大切にできるようになります。
もう一人で、心の中を整理しなくていい
長い間、自分よりも周りを優先してきた人ほど、自分の気持ちが分からなくなることがあります。
そのときは、心のシートを使いながら、今の悩み、繰り返している我慢のパターン、親から受け取った価値観、本当の気持ちを一つずつ整理していきます。
私は、答えを押しつけるのではなく、あなたが自分の答えを見つける時間に寄り添いたいと思っています。
「我慢する私」から、「自分の気持ちを大切にする私」へ。
過去を変えることはできなくても、これからの人生は、自分で選び直すことができます。
まずは今日、心のシートの一番目に、今気になっている出来事を一つだけ書いてみませんか?
一人では整理しにくいと感じたときは、カウンセリングで一緒に心のシートを作っていきましょう。

